工務店はサービス業
私は今、工務店でリフォーム業を行っていますが、工務店業は建設業というよりはサービス業なんだな、とつくづく感じます。発注者であるお施主様のそばで共に考え、提案してお客様の喜びを直に感じられ、本当に楽しい仕事だと思います。
私にとってはとても楽しいリフォーム業ですが、人には適性があり、人と話をするより、パソコンを何時間でもいじっている方がいいとか、現場で黙々とモノづくりをしている方が性に合う、という人もいます。
私は大学時代にステーキハウスでアルバイトをしていて、その職場の人に『矢山君はホントに楽しそうに働いているね』と言われたことがあり、人との折衝や接客が好きだったのだろうな、今となっても思います。
そして大学を卒業する時、いろいろな思いと共に建設会社に入りました。私は大学で土木工学を学び、3つの進路、①設計事務所、②公務員、③建設会社(ゼネコン)の中から、建設会社に惹かれ、この業界に進みました。初めての現場はJR吹田駅。駅の横の線路下に道路(トンネル)を通す工事でした。現場に入ると毎日、毎日測量と現場の施工図作りの面倒な仕事だけでした。
土木工事の測量は、一般の方が考えるよりもはるかにシビアで、道路勾配はミリ単位で測量して誤差は±3ミリ以内の誤差に収めていた。
非常に測量が大変だったことを記憶したいますが、いまは、道路勾配は機械で測量しながら作業しているとのこと。
会社員時代は駅のデッキの改修などもありましたが、多くは新しく作るもので、線路の下に新たにトンネルを作ったり、山を切り開き宅地+ショッピングモールの用地の造成や地下鉄新線、新高速道路の建設など、
地図に新しいランドマークを刻んでいくような、大きくてやりがいもある仕事で、しんどいながらも、誇りと満足感をもっていました。
そのやりがいを感じる一方で、仕事は常に図面や仕様書とにらめっこ、折衝も、JRや官庁の技術担当者とのやり取り、警察などの道路管理者への申請業務などで、
その方たちとの仕事は、ただ技術的で無味乾燥な感じの話に終始していたことが印象的です。しかし、今は同じ建設業でも住宅や店舗関連のリフォーム業になったことで、直接お客様と接するようになり、日々の仕事の身近なところで、生活改善や、人と人とのふれあいからの笑顔が感じられるようになりました。
ゼネコン時代の仕事は非常にやりがいも大きかったし、いまでも自分の作った駅にいくと、自分の携わった痕跡を確認するし、ちょっとの遠回りなら、自分の掘った地下鉄をわざわざ利用したりしますが、今の仕事に移って十数年、振り返ってみると、自分にはお客様と直接接する今の仕事の方を本当に楽しんでいるな、と感じます。
ところで、今も昔も共通して思うのは、“楽しい仕事“はあれども“楽な仕事”はないな。ということですね。